「軍隊をすてた国」木更津上映会
2003年3月29日(土) 木更津市民

   主催:平和・人権・教育文化を考える会
 3月29日,映画「軍隊をすてた国」の上映会が行われました。
 初めに平和・人権・教育文化を考える会代表の中村さんから,主催者挨拶と講師の紹介があり,続いてこの映画を製作した早乙女愛さんから,「軍隊をすてた国−コスタリカの『今』」と題して講演がありました。

 「コスタリカは半世紀前から軍隊がありません。それを知ったのは1996年ですが,映画化しようとしたのは,1999年12月から憲法調査会が開かれて,憲法9条を変えるかどうかにテーマが絞られていきました。。これはイカンと言うことで父が立ち上がりました。憲法が瀕死の状態にあることに一石を投じたいということが」映画を作るそもそものきっかけだったといったことが語られました。

 そして,「イラク攻撃を見てもわかるように,戦争のシーンは描きやすい。戦争の加害者,被害者のどちらでもないコスタリカの『今』を描きました。この映画から,明日から何が出来るのか考えるきっかけになればと思います」と最後に語られました。

 続いて,「軍隊をすてた国」(1時聞25分)の上映が行われました。

講演のようす 早乙女 愛さん
 動植物の宝庫として知られる中米コスタリカ。もうひとつの知られざる事実に、今、世界が注目しはじめている。−−軍隊を廃止し,半世紀以上がたつ、という事実。

 21世紀の現在、そこにはどんな社会があるのだろうか。 人々はなにを考えて暮らしているのだろうか。 抑制されたナレーションと音楽と踊りの導入により、コスタリカの「今」が淡々と描かれていく。人々の暮らしに根付く「民主主義」と、生き生きとした子どもたちの表情が、「軍隊のない世界」を浮かびあがらせていく。

 「軍隊をすてた国」を地球の裏側の物語として語るのではなく、スクリーンヘと導く大役を果たしたのは、沖縄出身、仲村清子の踊り。 大地に根をはるような安定した足取りと、蝶のような手の動き。 平和を希求する原始の民のような生命力は、林光作曲の舞曲とともに国境を越えて、コスタリカの人たちと触れ合う。

 1999年冬、「沖縄発コスタリカ」という名で生まれた企画に、一般市民からの募金が寄せられた。
2年の時を経て完成。 多彩な顔ぶれのアーチストと、若手中心の製作陣こころみた、新しいかたちの問題提起でもある。

   監督・構成       山本洋子
   企画          早乙女勝元
   製作          早乙女愛
   撮影          野間健
   振付          伊藤多恵
                野和田恵里花
   挿入歌・演奏    小室等
   出演         仲村清子
   企画・製作・配給 あいファクトリー
             コスタリカ

 コスタリカは、面積約5万1000平方キロメートル(九州と四国をあわせた程度)の、中米の小国である。

 約380万人が暮らし、国民一人あたりのGDP(国内総生産)は3000ドルあまり。 コーヒー、バナナなどの一次産品に経済を依存する、典型的な発展途上国だ。

 一貫して教育重視の政策をとり、現在も国家予算の4分の1を教育費に割いている
ため、識字率も約95%と世界有数である。 また、政冶に対する国民の関心は高<、投票率も長年約8割を保ってきた。

 自然保護の先進国としても知られ、国土の約4分の1以上が国立公園や自然保護区に指定されており、エコ・ツーリズムのメッカとしても有名だ。 隣国ニカラグアからの移民は100万人にも達するといわれ、移民受け入れ大国でもある。

 中米は、有史以来常に紛争の絶えない地域であった。 その中でコスタリカでは、1949年11月7日に施行された新憲法の第12条に、常備軍の禁止が盛り込まれた。 その条文は、要約すると以下のようになる。
 ・恒久的組織としての軍隊を禁止する
 ・大陸間協定(米州機構、米州相互援助条約)または国防のために、大統領は予備役を招集
  できる
 ・国内治安維持組織としての警察はこれを保有する

 この半世紀、いくどとなく憲法の改定が行われてきたが、この条項だけは制定以来不変である。1983年には、当時の大続領であるルイス・アルベルト・モンヘが積極的永世非武装中立宣言を発表。 

 あとを受けたオスカルーアリアス・サンチェス大統領も、周辺国の平和なくして自国の平和なしとして、内戦を続けてきた中米各国に停戦を呼ぴかける。この中米和平交渉の功績により、1987年にノーべル平和賞を受賞した。 国連人権高等弁務官の設立を提案するなど、歴史的にも平和・人権分野での国際貢猷で世界に知られる国である。